雑種地とは
①.地積規模の大きな土地②.農地の評価③.私道の評価④.雑種地の評価⑤.山林の評価
財産評価の指針では、「地、田、畑、山林、原野、牧場、池沼、鉱泉地のどれにも当てはまらない土地」と定義されています。身近にある土地では、駐車場や資材置き場など簡易な建物の敷地などが該当します。駐車場などは市街地でもよく見かけますが、設備が設置されていない青空駐車場、アスファルト敷きの駐車場や構築物を設置して駐車場として使用している場合も雑種地となります。
概要
土地の評価に当たっては、登記上の地目ではなく、課税時期の現況によりは判断されます。市街化区域にある雑種地はわかりやすいのですが、倍率地域や市街化調整区域にも雑種地はありますので、その雑種地がどのような地域にあるかによって評価方法が変わりますので注意が必要です。
雑種地の価額は、原則として、その雑種地と状況が類似する付近の土地について、その雑種地の近隣の1平方メートル当たりの価額を基とし、その土地とその雑種地との位置、形状等の条件の差を考慮して評定した価額に、その雑種地の地積を乗じて計算した金額によって評価します。
ただし、その雑種地の固定資産税評価額に、状況の類似する地域ごとに、その地域にある雑種地の売買実例価額、精通者意見価格等を基として国税局長の定める倍率を乗じて計算した金額によって評価することができるものとし、その倍率が定められている地域にある雑種地の価額は、その雑種地の固定資産税評価額にその倍率を乗じて計算した金額によって評価する、と国税庁は示しています。
つまり「近傍地比準価額方式」という方法で評価します。
市街化区域で路線価地域にある雑種地の評価
市街化区域にある雑種地は市街化の宅地と同様に路線価に画地補正を行います。
まず、地域の路線価を確認します。これに地区区分に応じて定められた各種画地補正(奥行価格補正率、側方路線影響加算率、二方路線影響加算率、間口狭小補正率、奥行長大補正率、不整形地補正率、無道路地補正率、がけ地補正率等)を行い、1㎡あたりの単価を算出し、これに地積を乗じて評価します。
倍率地域にある雑種地の評価
倍率地域とは、路線価の付けられていない地域になります。市街化区域にも市街化調整区域にも倍率地域はあります。この倍率地域にはその町や場所に応じて倍率が定められていて、評価する土地の固定資産税評価額に倍率を乗じることでその土地の評価額とするような地域です。倍率表とは、次のような表になります。国税庁のホームページで確認できます。
(国税庁HPより)
倍率表には宅地、田、畑、山林はありますが、雑種地の欄はありません。雑種地がある地域の宅地の倍率を使います。
この場合、評価方法は近傍地比準価額方式と倍率方式があり、このいずれかにより評価します。
①近傍地比準価額方式とは、その雑種地の付近で類似する状況の土地の1㎡当たりの価額を基にして、評価する土地の位置、状況等の条件の差を反映させて評価単価を算出し、これに地積を乗じた金額を評価額とします。
{比準宅地1㎡当たり単価×(奥行価格・間口狭小・奥行長大等の各補正率で修正した補正率)-(宅地造成費)}×地積
雑種地の評価に当たり、付近の宅地と比準していますので、宅地にするための造成等にかかる費用は控除することができます。
②倍率方式とは、対象地の固定資産評価額に上記の倍率を乗じた金額により評価する方式です。
(当該地の固定資産評価額)×(倍率)
市街化調整区域で建物の建築が制限されている地域にある雑種地の評価
現況雑種地であっても、その土地を利用して建物が建てられれば上記評価で良いのですが、市街化調整区域にある雑種地は建物の建築が制限されていたり全く建築が不可能な土地もあります。また宅地を比準とすることは適切でなく、対象地の付近が純農地や純山林である場合には、純農地、純山林を比準するのが相当です。また、市街化区域との境界に近かったり幹線道路沿いであったりした場合には、多少の用途制限があっても建築許可が下りる建物場合もあります。したがって周囲の状況に応じ個別の判断が必要ですが、その際にしんしゃく割合によって評価額を調整します。
①は市街化の影響度が弱く②、③に従って市街化の影響度が強くなります。③は具体的には遠藤さへビス施設が建設される可能性がある土地や日常生活に必要な物品の小売業等の店舗として開発又は建築される可能性のある土地になります。
①や②で農地比準や山林比準で評価することが相当とされる雑種地については、対象地の付近の農地等の固定資産評価額に倍率を乗じて計算します。
ただし既に駐車場や資材置き場として利用されている土地については、利用度が高まっていますので、固定資産評価額に倍率を乗じた金額に1㎡当たりの造成費を加算した価額したうえで地積を乗じて算定します。
しんしゃく割合
しんしゃく割合50%,30%について
いずれも宅地比準で評価するのですが、家屋の建築制限レベルによって家屋の建築が全くできない場合は原価率50%またはその地域の借地権割合のいずれか高いほうを適用。家屋の構造や用途等に制限を受ける場合は減価率30%としています。30%の減価ということは建物が少し建てやすいということです。幹線道路に面していたり、法的規制が緩やかであったり、コンビニやガソリンスタンドなど建てられる種類に制限があったりする地域等が該当します。
評価額の計算としては、
{(近傍の比準宅地1㎡の価額)×(各地調整率)×(1—しんしゃく割合)-(1㎡当たり造成費)}×地積
しんしゃく割合0%
郊外型店舗等が建ち並ぶ地域で、店舗等建築できる可能性が高く、宅地と同等の取引実態が認められるような対象地であれば、しんしゃく割合を考慮しなくてよいため、評価額は次のようにつぎのようになります。
{(近傍の比準宅地1㎡の価額)×(各地調整率)-(1㎡当たり造成費)}×地積
賃借権の目的となっている雑種地
賃借権の目的となっている雑種地の評価は、その雑種地の自用の評価からその賃借権の残存期間に応ずる割合を控除して求めます。
例えば自用地の評価が2000万円でコインパーキング業者に賃貸している土地で賃貸の残存期間が3年の場合の相続税評価額は次のようになります。
車を保管することを目的とする契約は、土地の利用そのものを目的とした賃貸借契約とは本質的に異なる権利関係ですので、この場合の駐車場の利用権は、その土地自体に及ぶものではないと考えられますが、車庫などの施設を駐車場の利用者の費用で造ることを認めるような契約の場合には、土地の賃貸借になると考えられますので、その土地の自用地としての価額から、賃借権の価額を控除した金額によって評価します。
地上権に準ずる権利として評価することが相当と認められる登記されている賃借権や権利金や一時金の支払のあるもの、堅固な構築物の所有を目的とするものなどの場合は
(自用地としての価額)×(賃借権の残存期間に応じその賃借権が地上権であるとした場合の法定地上権割合)又は(借地権であるとした場合の借地権割合)のいずれか低い割合
としますが、貸駐車場の場合はこれに該当しませんので、自用地としての価額 に乗じる割合は、 賃借権の残存期間に応じその賃借権が地上権であるとした場合の法定地上権割合の2分の1に相当する割合になります。
賃貸契約の残存期間が残り3年だったとすると、残存期間に応ずる割合は2.5%になるので、
2000万×(1-2.5%)=1950万円