相続税が2割加算される相続人
国税庁は、2割加算の対象となる方を次のように規定しています。
「相続、遺贈や相続時精算課税に係る贈与によって財産を取得した人が、被相続人の一親等の血族(代襲相続人となった孫(直系卑属)を含みます。)及び配偶者以外の人である場合には、その人の相続税額にその相続税額の2割に相当する金額が加算されます。」
例えば祖父からその孫に遺言を書いて直接財産を移転させれば1代相続手続きを飛ばすことが出来ます。
これを防止することと、兄弟相続は偶然性が関与している点ことを考慮されたものとなっています。
親等
親族間の遠い近いという関係を表す言葉に「親等(しんとう)」という単位があります。
親等とは,親族関係の遠近を表す単位です。最も近い関係にある親族を1親等,その次が2親等,
以下3親等,4親等,5親等・・・と続いていきます。
民法では,親族とは6親等内の血族・配偶者と3親等内の姻族のことをいいます。
ですから配偶者に親等はありません。
親等の数え方は,いったん同一の始祖までさかのぼってから数えていくことになります。
考え方としては,「横」に数えるのではなく「縦」に上下に数えていきます。
1親等は,自分の1つ上の世代=父母と,自分の1つ下の世代=子です。
2親等は,まず,自分の2つ上の世代=祖父母,自分の2つ下の世代=孫です。
さらに,兄弟姉妹も2親等になります。これは,同一の始祖までさかのぼるため、
1親等である父母まで1回上にあがって,1回下にさがります。2段階を経るため2親等
ということになります。
3親等は, 2つ上の祖父母の1つ下の人=伯父(叔父)・伯母(叔母)も3親等になります。
また,2親等である兄弟姉妹の子=甥や姪も3親等、さらには3つ上の世代=曾祖父母,
3つ下の世代=曾孫等が3親等になります。2親等以下の方が相続、遺贈で財産を取得すると、
その個人の算出した相続税が2割増しになります。
2割加算の趣旨
孫が財産を取得すると親から子を飛ばして孫に財産が移転しますので、相続税を1回免れる
ことになります。また、相続人でない人が財産を取得するのは偶然性が高いことなどから、
相続税の負担調整を図る目的で加算を行うものであるとされています。
代襲者の場合
孫が遺言により財産を取得した場合や、生命保険金の受取人となっていた場合には2割加算
となりますが、被相続人の死亡の前にその子が亡くなっていて子の代襲者として孫が相続する
場合には代襲相続人となった孫に当たりますので、2割加算されません。