民法30年改正の内容

1配偶者の居住権の保護

配偶者の居住権な保護をするものと長期的に保護していくものとがあります。

 

1-1【配偶者短期居住権】

 

相続開始時に被相続人の配偶者が被相続人の居住家屋に無償で住んでいた場合には居住用建物を無償で使用する権利を取得することとなりました。これを配偶者短期居住権といいます。

<使用できる期間>

➀配偶者が居住用建物の遺産分割に関与するときは居住用建物の帰属が確定するまでの間

ただし最低6ヶ月間は保障されます。

②居住用家屋が第三者に遺贈された場合、配偶者が相続放棄した場合には居住用家屋の新しい所有者

から消滅請求を受けてから6ヶ月

<従来との違い>

被相続人が居住用家屋を遺贈したり反対の意思表示をした場合であっても配偶者の居住を保護することができることとなりました。

<財産的な価値>

相続税申告における財産的な価値はありません。

 

1-2【配偶者(長期)居住権】

 

配偶者が相続開始時に居住していた被相続人所有の建物を対象として終身又は一定期間配偶者にその家屋の使用を認めることを内容とした法定の権利が新設されました。

<配偶者のメリット>

配偶者は自宅での居住を継続しながら、その他の財産も取得しやすくなりました。

仮に法定相続分での分割で進んだ場合に、居住用不動産の価額が都心部のように相対的に高いと、

自宅を相続したために、法定相続分に相当する不動産の割合が高くなり、金融資産まで取得することが

難しいケースが発生し、配偶者の老後の生活が脅かされることが解消されることが想定されます。

配偶者居住権は相続税申告に当り、相続税評価額を算定し、課税の対象となります。

この配偶者居住権の評価は土地等と家屋の両方に設定されます。

第三者に対抗するため、登記の対象となります。

算定方法は⇒ 配偶者居住権の相続税評価額算定

 

 

2【居住用不動産の贈与等は特別受益の対象外】

 

長期間婚姻している夫婦間で行った居住用不動産の贈与等を保護する方策として特別受益の対象外とすることとなりました。

具体的には婚姻期間が20年以上である配偶者の一方が他方に対してその居住用の不動産を遺贈または贈与した場合については、原則として計算上遺産の先渡しである特別受益の対象外とすることができるようになりました。

遺贈や贈与は配偶者の長年の貢献に報いること、残された配偶者の老後の生活保障の趣旨で行われることが多いため、被相続人の以蔵や贈与の趣旨を尊重しながら遺産分割に資することとなりました。

 

3【相続預貯金の仮払い制度】

 

相続された預貯金債権について生活費や葬儀費用の支払い、相続債務の弁済など各種の資金需要に対応できるよう、遺産分割前にも払い出しが受けられる制度が新設されました。

背景には平成28年12月の最高裁判決で、相続された預貯金は遺産分割の対象財産に含まれることとなったため、共同相続人単独で払い戻しができないこととされたことにあります。

2つの仮払金制度が設けられました。

  • 預貯金債権に限り、家庭裁判所の仮処分の要件が緩和されました。

各相続人が家庭裁判所へ申し立てることにより、生活費の支弁等の事情により相続預金の仮払いの必要性が認められ、かつ共同相続人の利益を害さない場合に限られます。

 

  • 家庭裁判所の判断を経ずに払い戻しができる制度の新設

遺産に属する預貯金債権のうち一定割合については、単独での払戻しが認められるようになりました。

<単独で払い出しできる金額>

「相続開始時の預貯金債権の額」×1/3×「その相続人の法定相続割合」になります。

たとえばA銀行に600万円の預金があり、相続人が兄弟2名の場合には、

600万円×1/3×1/2=100万円

ただし1金融機関で払い出しできる金額の上限は150万円です。

B銀行に1200万円あった場合には、

1200万円×1/3×1/2=200万円となりますが、同一金融機関の払い出し上限が150万円につき150万円となります。

なお、払い出しの資金使途は特に決められていません。

 

4【自筆証書遺言に関する見直し】

 

自筆証書にパソコン等で作成した目録を添付したり、銀行通帳のコピーや不動産登記簿謄本を目録として貼付することができるようになりました。

従来は、遺言全文を自筆で記載する必要があり、財産の多いお年寄りの場合の負担が重かったのですが、改善されました。

貼付する書類はパソコン等で作成はできますが、その財産目録等全ページに署名・捺印が必要です。

また、これらのパソコン等で作成した書面を添付するしないの選択はできますが、遺言書そのものは自署して捺印することが必要です。

 

5【法務局での遺言書保管制度の新設】

 

自筆証書遺言は自宅で保管されるのが一般的ですが、遺言書が紛失、亡失するリスクがあります。また相続人による遺言書の廃棄。隠蔽、改ざんが行われる恐れがありますので、法務局で自筆証書遺言を保管する制度が始まります。

手続き

遺言者は自ら法務局に出頭し自筆証書遺言の保管を申請します。代理人による申請はできません。本人確認を厳格に行った上で、遺言書の法律上の要件の形式点検をしますので、封はせずに提出します。提出先は遺言者の住所地、本籍地または所有する不動産の所在地のいずれかを管轄する法務局になります。

その他

遺言者の生存中は閲覧できません。遺言者が亡くなった後に相続人のいずれかが遺言書の閲覧をしたり、電子データ情報の交付を受けたりすると法務局から他の相続人に遺言書を保管していることの通知が行われます。従って遺言者はご家族に法務局に遺言書を預けたことを伝えておくことが必要です。

 

6【相続人以外の者の貢献を考慮する特別寄与】

 

相続人以外の被相続人の親族が被相続人の療養看護等を行った場合には、一定の要件のもとで、相続人に対して金銭請求をすることができる制度が新設されました。従来は、例えば相続人以外の親族(長男の妻など)が被相続人の介護に無償で尽くしても相続財産を受取ることができませんでした。この制度により、生前の貢献度により相続人以外の親族が相続財産を受け取れることができるようになりました。

ただし遺産相続は法定相続人が行い、貢献した親族は遺産を取得した相続人に対して請求をすることとなります。

 

 

 

 

 

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