債務

 

 

 相続税を計算するときは、被相続人が残した借入金などの債務を遺産総額から差し引くことができます。

 

(1) 債務

 

 差し引くことができる債務は、被相続人が死亡したときにあった債務で確実と認められるもので

 す。

 

借入金

 

被相続人が借入をしていて相続日に残高が残っていれば金融機関から残高証明書を取得してその残高を債務として控除します。カードローン等も同様です。ただし、住宅ローンを利用していて団体生命保険付きのローンの場合は通常銀行が契約している団体生命保険でローンは完済されますので、対象外です。

 

被相続人が納付すべき税金

 

被相続人に課される税金で被相続人の死亡後相続人などが納付又は徴収されることになった所得税などの税金については被相続人が死亡したときに確定していないものであっても、債務として遺産総額から差し引くことができます。

固定資産税の納付書は毎年4月頃に市町村役場から届きます。固定資産税の納税義務はその年1月1日現在の所有者にありますので、被相続人が不動産を所有していた場合には、亡くなった年の固定資産税で未納のものを債務とします。

 

医療費や介護費用

 

医療費や介護費用の支払いのうち相続日後に請求が来て支払ったものが該当します。医療費については亡くなる日までの分は確定申告の医療費控除で申告し、相続後のものを相続税において相続財産から控除することとなります。

 

公共料金やクレジットの支払い

 

通常水道ガス電気等は使用した月の翌月払いですので、死亡した月の翌月に請求された金額(死亡月に使用した金額)が債務控除できます。クレジット等で被相続人が使用し、死亡後に引き落としされたものも同様です。

 

賃貸アパートの敷金

 

被相続人がアパート経営をしている場合で、賃借人から敷金を預かっている場合には、将来賃借人が退去するときにお返しすることとなりますので、債務となります。

ただし、相続人などの責任に基づいて納付したり、徴収されることになった延滞税や加算税などは遺産総額から差し引くことはできません。

 

(2) 葬式費用

 

葬式費用は債務ではありませんが、相続税を計算するときは遺産総額から差し引くことができます。

 

遺産総額から差し引くことができない債務

 

被相続人が生前に購入したお墓の未払代金など非課税財産に関する債務は、遺産総額から差し引くことはできません。

 

保証債務及び連帯債務

 

国は保証債務及び連帯債務について、次のように規定しています。

 

(1) 保証債務については、控除しないこと。

ただし、主たる債務者が弁済不能の状態にあるため、保証債務者がその債務を履行しなければならない場合で、かつ、主たる債務者に求償して返還を受ける見込みがない場合には、主たる債務者が弁済不能の部分の金額は、当該保証債務者の債務として控除すること。

 

(2) 連帯債務については、

連帯債務者のうち債務控除を受けようとする者の負担すべき金額が明らかとなっている場合

 当該負担金額を控除する。

連帯債務者のうちに弁済不能の状態にある者があり、かつ、求償して弁済を受ける見込みがなく、当該弁済不能者の負担部分をも負担しなければならないと認められる場合

その負担しなければならないと認められる部分の金額も当該債務控除を受けようとする者の負担部分として控除すること。

 

消滅時効の完成した債務

 

相続の開始の時において、既に消滅時効の完成した債務は、確実と認められる債務に該当しないものとして取り扱うものとしています。

 

債務や葬式費用を遺産総額から差し引くことができる人

 

債務などを差し引くことのできる人は、次の 丸1又は 丸2に掲げる者で、その債務などを負担することになる相続人や包括受遺者(相続時精算課税の適用を受ける贈与により財産をもらった人を含みます。)です。

 

 ①相続や遺贈で財産を取得した時に日本国内に住所がある人

 ②相続や遺贈で財産を取得した時に日本国内に住所がない人で、次のいずれかに当てはまる人

 

イ 日本国籍を有しており、かつ、相続開始前10年以内に日本国内に住所を有していたことが

ある人

ロ 日本国籍を有しており、かつ、相続開始前10年以内に日本国内に住所を有していたことが

ない人(被相続人が、一時居住被相続人又は非居住被相続人である場合を除きます。)

ハ 日本国籍を有していない人

(被相続人が一時居住被相続人、非居住被相続人又は非居住外国人である場合を除きます)

 

相続を放棄して人はプラス財産もマイナス財産も関係なくなりますので、債務控除の対象外となりますので注意が必要です。

ただし、相続を放棄した人が葬式費用を負担した場合に国は、当該負担額について、その者の遺贈によって取得した財産の価額から債務控除しても差し支えないものとするとしていますので、負担した葬式費用を債務控除できます。

 

 

(注) 包括受遺者とは、遺言により遺産の全部又は何分のいくつというように遺産の全体に対する割合で財産を与えられた人のことをいいます。

なお、相続人や包括受遺者であっても、上記の①又は②に該当しない人は、遺産総額から控除できる債務の範囲が限られ、葬式費用も控除することはできません。

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