土地 基本編

土地の評価

 

土地には地目があります。その地目に基づいて原則として宅地、田、畑、山林などの地目ごとに評価します。

まずは宅地について解説します。

 

宅地の評価単位

 

宅地の価額は、1筆単位で評価するのではなく、利用の単位となっている1区画の宅地を

「評価単位」といい、この1画地の宅地毎に評価します。

具体的には、次のように判定します。

 

所有する宅地を自ら使用している場合

⇒居住の用か、事業の用かにかかわらず、その全体を1画地の宅地とします。

 

所有する宅地の一部を貸家の敷地、他の部分を自己が使用している場合

 ⇒それぞれの部分を1画地の宅地とし別々に評価します。

   土地の一部に借地権を設定させ、他の部分を自己が使用している場合や他の部分を貸家の敷地の

   用に供している場合も同様です。

 

貸家建付地(貸家やアパートの敷地)を評価する場合で貸家が数棟ある場合や

借地権の目的となっている宅地を評価する場合において、貸付先が複数である場合

 ⇒原則として、各棟の敷地ごとに1画地の宅地とします。

 

2以上の者から隣接している土地を借りて、これを一体として利用している場合

⇒その借主の借地権の評価に当たっては、その全体を1画地として評価します。この場合、

貸主側の貸宅地の評価に当たっては、各貸主の所有する部分ごとに区分して、

それぞれを1画地の宅地として評価します。

 

共同ビルの敷地の用に供されている宅地

⇒その全体を1画地の宅地として評価します。

 

宅地はこのように利用単位により評価単位が決まります。

評価単位を誤ると本来適用できない「地積規模の大きな土地」の減額をしてしまうなど評価額が大きく

乖離する事がありますので、注意が必要です。

 

土地の所在している場所により評価方法は「路線価方式」と「倍率方式」があります。

 

 路線価方式     

 

路線価方式は、路線価が定められている地域の評価方法です。国税庁が毎年7月1日にその年の路線価を発表しています。

路線価とは、路線(道路)に面する標準的な宅地の1㎡当たりの価額のことで、千円単位で表示しています。

路線価図該当地前面道路に「280D」と記載があれば1㎡280千円であることを示し、アルファベットのDは借地権割合を示しています。

借地権割合はA~Gまであり、Aが90%で最も高く、10%刻みで決められています。

路線価方式における土地の価額は、この路線価に地積を乗じて求めますが、角地のように2方向の路線価が交わった土地の場合は、まず路線価の高い方を正面路線価とし、それに側方路線価や二方路線価の一定割合を加算して路線価を修正します。

 

主な画地補正

 

定められた路線価からその土地の形状等に応じた奥行価格補正率などの各種補正率で補正した後に、その土地の面積を乗じて計算します。

 

行価格補正率

奥行きが短すぎる、長すぎる土地の評価額を減額します。

 

間口狭小補正率

間口が狭い場合、使い勝手が悪いことにより減額の対象になります。

 

奥行長大補正率

奥行距離/間口距離の割合が一定水準以上の時、細長さを基準に減額できます。

 

不整形地補正率

土地が長方形や正方形でなく不整形である場合も減額の対象になります。

これら減額の割合は、その土地の所在する地区区分により国税庁が定めています。

次の調整率表を参照ください。

 

 

 

 

 

 

倍率方式

 

倍率方式とは、市町村役場の土地課税台帳に登録された固定資産税評価額に国税局長が

一定の地域ごとに定めた倍率を乗じて計算した金額によって評価する方式をいいます。

市街化調整区域の場合、建築を制限する地域のため路線価は付されてなく、この倍率方式によります。

 

倍率方式による評価

 

倍率方式により評価する宅地の価額は、その宅地の固定資産税評価額に地価事情の類似する地域ごとに、その地域にある宅地の売買実例価額、公示価格、不動産鑑定士等による鑑定評価額、精通者意見価格等を基として国税局長の定める倍率を乗じて計算した金額によって評価します。倍率は次の倍率表により求めます。

(国税庁HPより)

対象地が北新横浜1丁目にある市街化調整区域でその土地の固定資産税評価額が9,600,000円であった場合の相続税評価額は、

9,600,000×1.1=10,560,000円となります。

倍率方式の場合は、画地補正はせず、評価額に倍率を乗じて算出します。

 

 

貸家建付地(貸家、アパートの敷地)の評価

貸家、アパートなど所有する土地に建築した家屋を他に貸し付けている建物の敷地を貸家建付地といい、

自用地に比べ利用が制限されるため評価を減額できます。

貸家建付地の価額は、次の算式で求めた金額により評価します。

 

貸家建付地の価額 

  = 自用地としての価額-自用地としての価額×借地権割合×借家権割合×賃貸割合

 

ここで借地権割合は、路線図に記載されているその敷地の借地権割合によります。借家権割合は通常の地域では30%です。

仮に

路線価             200千円

地積      100㎡

借地権割合   60%

借家権割合         30%

賃貸割合            90%(空室10%)

とすると、

この土地の評価額は

200千×100㎡-200千×100㎡×60%×30%×90%=16,760千円

となります。

 

借地権の評価

 

借地権の種類

 

借地権とは、建物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権をいいます。

借地権には、次のとおり5種類の借地権があります。

 

(1) 借地権(旧借地法、借地借家法の借地((2)から(5)までを除く。))

(2) 定期借地権(借地借家法第22条)

(3) 事業用定期借地権等(借地借家法第23条)

(4) 建物譲渡特約付借地権(借地借家法第24条)

(5) 一時使用目的の借地権(借地借家法第25条)

借地権を評価する場合には、(1)を「借地権」(2)から(4)を「定期借地権等」及び(5)を「一時使用目的の借地権」

に区分して評価しており、評価方法が異なります。

 

借地権の評価

 

借地権の価額は、借地権の目的となっている宅地が権利の付着していない、自用地としての価額に借地権割合を乗じて求めます。この借地権割合は、借地事情が似ている地域ごとに定められており、路線価図や評価倍率表に表示されているのは前段と一緒です。

 

自用地評価額 10,000千円

借地権割合    60%

の借地権の評価は、

10,000千×60%=6,000千円 となります。

これは借りている側の評価額です。

 

貸宅地

 

借地権の裏側(底地)、つまり地主側の権利(貸宅地)は、自用地価額から借地権価額を控除することで

求められます。

前例では、貸宅地の評価額は、10,000千-6,000千=4,000 となります。

 

 

セットバックのある土地の減額

 

建築基準法では、原則建物の敷地は幅員4m以上の道路に2m以上接している必要があり、その接道要件を満たさないと建築が認められません。しかし建築基準法施行以前から存在している既成市街地の古い道路で4m未満の道路も世の中にはたくさん存在しています。

このような道路を2項道路といい、再建築する際には道路の中心線から水平距離2m後退して道路の幅員を広げることで建築許可を出してくれます。

仮に前面道路が3mだったとすると道路中心線から敷地境界まで1.5mしかありませんので、将来建替えする場合には、0.5m後退しなければなりません。

この道路後退部分をセットバックといい、将来敷地の利用が制限されることから、その対象となる地積については自用地の評価額から70%減額することが可能です。

セットバック面積については、現地調査や役所調査により確認します。

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